インターネット上でデータを送受信する際に一般的に使われる技術が「データ圧縮」です。
メールでの添付ファイルやウェブサイトからのダウンロード、ストレージへのデータ保存の際にもデータ圧縮技術が頻繁に活用されます。
この記事では、データ圧縮技術について解説します。
データ圧縮技術とは
まず、データ圧縮技術の方式と、それぞれの方式における特徴について解説します。
大きく分けるとデータ圧縮技術の方式には「可逆圧縮方式」「非可逆圧縮方式」の2つがあります。
この両者の違いは、圧縮したデータを再度使用する際(解凍または展開)に全く元の状態に完全に復号化できるかどうかです。
・可逆圧縮方式
・非可逆圧縮方式
それぞれ具体的に見ていきましょう。
可逆圧縮方式
可逆圧縮方式とは、圧縮したデータを解凍・展開する際に完全に元の状態に戻せる方法を指します。
可逆圧縮方式では、圧縮するデータの冗長性を無くしデータの法則性・偏りを見つけ出して圧縮します。
この圧縮方法は「ロスレス圧縮」と呼ばれる方法です。
可逆圧縮方式は主にExcel、Wordなどの文書ファイル、プログラムファイルなどのデータ圧縮の際に利用されます。
非可逆圧縮方式
非可逆圧縮とは、細部は戻せないものの、情報全体は意味が変わらないように圧縮する方式です。
可逆圧縮方式はデータを完全に元の状態に戻せますが、非可逆圧縮は一部のデータが欠落するため、完全にデータを戻すことはできません。
ただし非可逆圧縮は、欠落するデータを「許容できる範囲」に留められます。
データの欠落を許容するために効率的な圧縮ができる技術なのです。
このような圧縮方法は、映像・音楽・画像などの圧縮の際に利用されます。
法人でデータ圧縮が重要となる理由
データ圧縮そのものは、個人のパソコンや外部ストレージ、NASなどにおいても頻繁に利用されます。
しかし、個人でのデータ利用の場合と比較して、法人においてはとりわけデータ圧縮が重要となります。その理由について、以下のポイントに分けて解説します。
・ストレージコストの削減
・データ転送・バックアップにかかる時間の短縮
・データ活用の促進
・公開データの効率化・最適化
それぞれ具体的に見ていきましょう。
ストレージコストの削減
ストレージコストを削減するには、データ圧縮による対処が有効です。
法人では、日々膨大なデータが蓄積されます。
日々の取引・受発注のデータや顧客情報、製品や制作物のデータは、継続的に増え続けていきいます。
保存するデータの増加には、一般的にストレージの増設やNASの活用、クラウドストレージの利用などで対処します。
しかし、これらの方法によるストレージの増加にはコストが伴います。
そこで注目するべきポイントは、法人のデータは過去の記録として保存しておく必要があるものの、必ずしも常に使用するデータではないものも多くあるという点です。
たとえば取引に関する数値・データは日常的に閲覧できる必要があるものの、それに伴う報告書類や日報などのデータは、必要に応じて展開できる形で保存されていればよいケースもあるでしょう。
このようなデータは、データ圧縮を活用することで保存容量を削減し、ストレージコストを大きく抑制する効果が期待できます。
データ転送・バックアップにかかる時間の短縮
データ転送やバックアップ時間の短縮は、データ圧縮の主要な効果のひとつです。
法人では、プロジェクトを進めるために外部の事業者とデータをやりとりすることや、支社・リモートワークをしている社員との間でデータを共有することがあります。
このような場面には、データをそのまま送信・共有するよりも適切に圧縮を行うと、効率的に送信や共有ができます。
また、法人のデータはバックアップも重要です。
保存しているデータ量が多くなる法人では、バックアップにも長い時間がかかるケースが珍しくありません。
データを圧縮することにより、バックアップにかかる時間を短縮し、その結果高い頻度でのバックアップを作成できます。
適切な頻度でバックアップを取得し、重要な業務のデータを喪失するリスクを低下させられるのです。
データ活用の促進
データの圧縮を行う効果については、単にストレージの節約だけではなく、保存してあるデータを活用する場面においても役立ちます。
データの圧縮を行うことにより、送信や共有が容易になれば、その分様々な場面でデータを活用できるようになります。
たとえば本社のデータを支社・拠点で迅速に利用できるようになるなどのケースが考えられるでしょう。
また、リモートワークと近い考え方で、データを収集する場所と活用する場所が異なる場合でも、データ圧縮を行うことで送信・共有を効率化できます。
データを活用した業務効率化を検討しているものの、扱うデータのサイズが大きく、今ひとつ活用しきれていないような場合は、データ圧縮について今一度知識を深めることが重要です。
公開データの効率化・最適化
法人のデータは、一般公開するデータと非公開とするデータを分けて考える必要があります。
たとえば収支・業績や新商品などのデータは一般に公開するものである一方、一定期間が経過した後は公開を終了することもあります。
しかし、公開しない場合でも、過去のデータを保存しておく必要があるものも多いでしょう。
社内向け、ステークホルダー向け、役員向けなど、一般公開はしないもののデータそのものは必要に応じて閲覧できるようにしなければならないケースもあります。
このようなデータは、アーカイブのようにデータを圧縮して保管しておき、公開の必要が生じた場合に適宜データを解凍して展開する運用が便利です。
データ圧縮の導入
データ圧縮を導入しようとする際には、一般に「圧縮ツール」が頻繁に活用されます。
圧縮ツールを活用して、ZIPやLZHなどの圧縮形式にデータをまとめる方法がよく知られています。
法人のデータも、文書ファイルや数値ファイルなどはこれと同様の考え方で圧縮できます。
一方「圧縮」という言葉は、必ずしもZIPやLZHなどのアーカイブ形式でのファイル圧縮を意味するわけではありません。
たとえば動画や画像ファイルは、MPEG4として作成された動画(元データ)に対して、H.265/MPEG-H HEVCという動画圧縮技術を用いて圧縮された動画ファイルを作成する方法もファイル圧縮の一種です。
画像ファイルは、TIFF・BMPなどで作成された元データに対して、JPEGやPNGなどの形式に圧縮して出力することにより、データ量を削減するなどの方法もあります。
これらの動画・画像ファイルの圧縮は、動画・画像編集ソフトウェアによりエクスポート形式を変えることで圧縮方法を変えられます。
データ圧縮の注意点
データ圧縮は保存容量の節約や効率的なデータ送信・共有の際に便利な機能ですが、注意点もあります。
たとえば、特に非可逆圧縮で起こりやすいのが「データの劣化」です。
画像や動画は、圧縮を行う際に一部のデータを欠落させ、データ量を削減しています。
たとえば、画像の細部の色表現を、一見して知覚できないレベルで同じ色として処理していると考えるとわかりやすいでしょう。
こうして圧縮されたデータをさらに圧縮する行動を繰り返すと、やがて元の画像データと圧縮を繰り返したデータで大きな違いが生じます。
他にも、データ圧縮の効果は対象となるデータにより大きく異なるという点も注意が必要です。平文のテキストデータ、特に繰り返しの内容が多いテキストデータなどでは圧縮の効果が大きい一方、すでに圧縮されているデータに対しては圧縮の効果は大きくありません。
加えて、高圧縮率のツールで圧縮を行った場合に、展開(解凍)する際の負荷や時間が大きくなる点、圧縮ファイルが破損すると、アーカイブ内のデータが取り出せなくなるケースがある点なども注意点といえます。
これらの注意点を踏まえつつ、適切にデータ圧縮技術を活用するとよいでしょう。
まとめ
この記事では、法人でも重要となるデータ圧縮技術について解説しました。
データ圧縮というとメールやチャットに資料を送る際に使うなど具体的なケースを思い浮かべる人も多いでしょう。
それもデータ圧縮の便利な活用方法のひとつです。
しかし、データ圧縮はそれだけではなく、保存しているデータの整理やストレージ領域の節約、効率的なデータ活用のために重要な技術です。
データ圧縮を活用して、データを用いた効率的な業務を展開する際の参考としてください。