NASはシステム関連の企業だけでなく、映像制作、土木、建設、営業、医療など業種・職種を問わず幅広く活用の可能性があります。
この記事では、NASの基本機能を踏まえながら、さまざまな業種の企業でのNASの活用シーンを解説します。
映像制作会社の例
現代では手軽に動画を撮影できるスマートフォンが普及し、動画というコンテンツが企業のマーケティング活動にとっても重要な地位を占めるようになりました。
企業からの依頼を受け映像コンテンツを制作する映像制作会社では、以下のような制作工程での活用が考えられるでしょう。
・取材&撮影したらその場でNASにアップロード
・事務所でアップロードされた映像を確認
・追加の撮影指示がリアルタイムにできる
それぞれ具体的に見ていきましょう。
取材&撮影したらその場でNASにアップロード
映像制作において、撮影した動画ファイルは重要な素材です。
高品質な成果物を制作するために、長時間にわたる撮影や取材が必要になる場合もあります。
しかし、動画ファイルが大容量になると、事務所に戻るまで撮影内容が確認できないという問題が発生します。
以前は、カメラごと事務所に持ち帰る必要があり、現地で何が撮影されたかは現場のスタッフだけが把握している状況でした。
また、事務所のスタッフは映像が届くまで制作に着手できず、効率が下がる要因にもなっていました。
NASを利用すれば、撮影した映像を現地からネットワークを通じてリアルタイムに事務所へアップロードできます。
事務所でアップロードされた映像を確認
NASの活用により、現場のスタッフが撮影した映像をNASにアップロードすれば、事務所のスタッフが即座に確認して現場と連携しながら進行を調整できます。
例えば、撮影者が事務所に戻る頃には、すでに編集作業が開始されているという状況も可能です。
追加の撮影指示がリアルタイムにできる
リアルタイムでの映像の確認はクオリティ管理にも役立てられるでしょう。
取材や撮影は、許可取得やスケジュール調整が必要な場合が多く、再撮影が難しいこともあります。
NASを活用すれば、事務所で映像を即座にチェックし、不備や不足があれば、その場で追加指示を出すことができます。
このように、NASは撮影から制作までのスムーズな連携を実現し、映像制作の効率を大幅に向上させられるでしょう。
土木&建設会社の例
人手不足や後継者不足などIT化・DX推進が叫ばれる土木・建設関連の企業でも、NASの活用が大きな手助けとなるでしょう。
工事や建設現場では、進捗管理における以下の工程で、NASの活用の余地があります。
・工事進捗管理写真の撮影
・本社NASへその場でアップロード
・写真の再撮影を指示
・映りの問題を解決して業務の効率化を図る
それぞれ具体的に見ていきましょう。
工事進捗管理写真の撮影
工事の進捗や施工状況の把握は、土木・建設関連の企業にとって重要です。
現場の作業員だけが把握しているのではなく、本社にいるスタッフや管理職にとっても、現地での工事状況はできるだけ正確に把握したいと考えるでしょう。
かつてはデジタルカメラで撮影した写真を本社に持ち帰る、フィーチャーフォンの「写メ」機能を活用して本社に送るという方法が採用されてきました。
しかしこれらの方法は、撮影するべき箇所の適格性や鮮明さの問題をはらんでいます。
また、撮影した写真を持参するという非効率な運用により、作業後にも一部のスタッフに拘束時間が発生してしまう問題がありました。
NASの活用は、工事状況の確認の手間を省くことにつながっています。
本社NASへその場でアップロード
NASの導入により、工事状況・施工状況の写真を遠隔地のスタッフ・管理職に即座に送信できるようになります。
NASの機能の中には、スマートフォンからNASへアップロードできるアプリを提供しているものもあります。
アプリを活用してNAS内の指定のフォルダーにアップロードするよう周知しておくなどの運用により、現場と工事管理のスタッフとのスムーズな連携が可能です。
写真の再撮影を指示
土木や建設工事の現場で写真撮影を求められるのは、作業状況を把握するためです。
しかし、写真撮影に不慣れなスタッフが撮影した写真や、照明状況・天候状況によっては、必要な箇所が撮影されていない、映りが悪く状況がわからないという問題が発生するケースがあります。
工事現場と本社とを往復して写真を管理していた頃は、再撮影のためにスタッフが現場に赴くことや、やむを得ず不鮮明な写真のままで工事を進めていることもあったでしょう。
しかしこれらの運用は、いずれも理想的とはいえません。
NASの活用により、問題のある写真はその場でリアルタイムに再撮影を指示できます。
映りの問題を解決して業務の効率化を図る
NASの活用によりリアルタイムな写真の確認ができるため、映りの問題をその場で確認・修正できるようになります。
これは、工事・施工の状況を正確に保管できるとともに、スタッフに必要以上の負担をかけず業務を効率化できるメリットがあります。
本社・事務所と現場が離れていることによる課題を、NASはネットワークによって解決してくれるでしょう。
医療・介護業界の例
IT化・電子化が進む医療・介護業界においても、いまだ効率化の余地があります。
医療・介護業界におけるNASの活用例を、以下にまとめました。
・診療録や介護記録のデータ保存と活用
・PACSの写真データ保存場所として活用
・電子カルテ・レセプトのデータ保存と活用
・遠隔地診療・介護における活用
それぞれ具体的に見ていきましょう。
診療録や介護記録のデータ保存と活用
かつては紙で保存されていた診療録・介護記録などは、現在ではその大部分が電子化されています。
しかし、電子化されたデータの保存場所や、かつて紙で残されていた過去の膨大なデータをどのように保存・活用するかについては課題が残ったままというケースもあるでしょう。
診療録や介護記録は、ただ保存しておくだけではなく、必要に応じて迅速に閲覧・活用できる点が重要です。
NASの保存容量とネットワークを通じた迅速なアクセスは、医療・介護における実務での保存と活用に充分耐えうるものといえるでしょう。
PACSの写真データ保存場所として活用
医療の現場では「PACS(Picture Archiving and Communication System)」を活用した医療現場における画像データが利用されています。
医療用画像は診療の回数や人数、検査回数などにより増加していきますが、一概に古いものを削除してよいケースばかりではありません。
医療用画像の保管・管理は、多くの画像を保存しておけるNASの活用により解決できる可能性があります。
電子カルテ・レセプトのデータ保存と活用
大規模な病院におけるカルテやレセプトのデータ保存は、かつてサーバールームにファイルサーバーを設置する方法が一般的でした。
なぜなら、HDDの故障時におけるRAIDでの冗長性が確保でき、ネットワークを通じて機器との距離があってもアクセスができるという環境を整備するには、ファイルサーバー以外の有力な選択肢が乏しかったためです。
HDDの容量が限られていた時代には、大量のHDDを設置したファイルサーバーをサーバールームに集中的に配置する以外に、現実的な対処方法が考えにくかったのでしょう。
しかし現代では、HDDが大容量化し、通信も高速化しています。
またNASソリューション自体も時代に沿って成長しており、ファイルサーバーとして充分に活用できるものも多くあります。
比較的筐体が小型のNASであっても、大容量のHDDを搭載できることから、NASは設置場所を選ばずにネットワークストレージを活用できます。
電子カルテやレセプトのデータ保存・活用のための機器として充分に魅力的な選択肢といえるでしょう。
遠隔地診療・介護における活用
訪問医療・介護を提供する病院・介護施設では、訪問先での診療・介護の記録を残す必要があります。
しかし、病院や介護施設のファイルサーバーが院内からしかアクセスできないような場合は、担当した医師や職員が病院に戻ってから記録を作成する必要がありました。
NASはアカウントや端末を限定して外部ネットワークからのアクセス許可をするなど、セキュリティと利便性を両立できる柔軟な機器です。
訪問先へ持参したタブレットやノートパソコンなどから記録を作成できれば、遠隔地診療・介護を提供する医療・介護業界においても業務を効率化でき、負担の軽減も期待できます。
教育関連業界の例
近年では、学校教育にもタブレット・パソコンが導入されるなど、教育のIT化・DX化が着実に進行しています。
教材や参考書などのデータを配布するための保存場所としてのNASの活用はイメージしやすい例ですが、他にもNASは教育関連の現場でも活用できます。
ここでは、以下の2つのシーンを例として解説します。
・課題の提出先やグループワークでの活用
・テストや成績データの蓄積場所としての活用
それぞれ具体的に見ていきましょう。
課題の提出先やグループワークでの活用
学校や塾など、教育現場における学習スタイルは、テクノロジーの進展に伴い大きく多様化しています。
その一例として、家庭学習の拡大があります。
従来、長期休暇の際には、学校や塾から大量の課題が配布され、休み明けに生徒がそれを提出するという方法が一般的でした。
しかし、NASを活用することで、これらの課題は生徒が家庭で完成次第、即座に担当教員や講師が確認できるようになります。
『課題を解いたが持参するのを忘れた』という問題も解消され、生徒の学習状況をリアルタイムで把握できます。
さらに、グループワークの課題でも、NASの活用により班やクラスごとのデータを簡単に共有・編集が可能になりました。
各メンバーがリアルタイムにコラボレーションしながら効率的に課題に取り組む新しい学習スタイルが実現できます。
NASの導入は、効率的かつ柔軟な学習環境を実現できるでしょう。
その他の業界・業種でのNASの活用方法
ここまで解説してきた業界以外にも、さまざまな業種・業界でNASの活用余地があります。
たとえば、飲食業では、店舗と仕入れ先の市場が離れている場合でも、仕入れた食材の写真を即座に本社や本部と共有できます。
また、営業職では、顧客に提案するプレゼン資料や既存契約の詳細をNASからいつでも確認でき、商談結果をすぐに本社と共有できるでしょう。
このように、NASは距離や時間の制約によって生じていた非効率を大幅に改善し、業務の効率化を支援する強力なツールといえるのです。
まとめ
この記事では、様々な業界・業種におけるNASの活用例を解説しました。
NASは単なるデータ保管場所としてではなく、業務の効率化や品質向上にも貢献する強力なツールです。
自社の業務で距離や時間の制約により非効率となっている部分や、データの確認などのリードタイムが課題となっている場合には、NASの活用が解決手段となる可能性があります。
この記事で解説した内容を参考に、自社業務での業務改善とNASの活用方法について検討を進めてみてください。
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