NAS(Network Attached Storage)は、個人・法人を問わず便利に使える製品です。
ネットワーク越しにファイルを保存し、適宜ダウンロードする運用や、NAS上のファイルをチームで共同編集するなどの用途もあるでしょう。
このように様々な用途があるNASですが、保存しているNASのデータの安全性の確保は多くのユーザーが気になるポイントでしょう。
この記事では、NASデータのバックアップについて解説します。
NASのバックアップが必要な理由とは
NAS内に保管しているデータの保存方法を考えると、NAS内のデータのバックアップは必要であると考えたほうがよいでしょう。
その理由は、NASとはあくまでHDD・SSDを統括してネットワークに接続するという製品であり、データが保存されているのは紛れもなくNAS内に搭載されたHDD・SSDであるためです。
つまり、パソコンなどと同様にデータを保存しているのです。
ただし、一般的なパソコンと異なる点としては、NASは複数のHDDを運用する前提の製品もあり、その場合にはRAIDを構成することで冗長性を確保しています。
とはいえ、RAIDを構成していればNAS内のデータバックアップが不要であるとする考え方も懸念点があります。
NASそのものの物理的な破損・故障や、複数のHDDが同時に障害を起こすケースはゼロではないためです。
NASのバックアップ先のおすすめ3選とメリット・デメリット
NAS内データをバックアップする場合、バックアップデータを保存する場所が必要となります。
ちょうど、パソコンのHDDやSSDのデータを外付けHDD・SSDに保存するのと同様の考え方です。
では、NASのバックアップ先にはどのような選択肢があるのでしょうか。
以下に、NASのバックアップ先として代表的な3つの選択肢と、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
・外付けHDD・SSD
・クラウドストレージ
・NAS
それぞれ具体的に見ていきましょう。
外付けHDD・SSD
外付けHDDや外付けSSDは、パソコンなどのバックアップ手段としても普遍的に用いられる製品です。
外付けHDDやSSDのメリットは、以下の2点です。
・USBポートを使って脱着が可能でバックアップにおける特別な手順が不要
・必要な費用はデバイスを購入する際の最初の投資のみ
NAS製品の多くはUSBポートを備えており、USBケーブルを使用して外付けHDD・SSDを接続し、バックアップを行えます。
もちろん、USBポートを使用することから、大容量のUSBメモリなどをバックアップ先として使用することもできるでしょう。
さらに、NAS製品を展開している企業の中には、NAS用の外部ストレージとして、エンクロージャーと呼ばれる複数のHDDを統括して利用できる外付けHDD製品を展開しているケースもあります。
QNAPでは、TR-004などの製品が代表的です。
一方、外付けHDD・SSDのデメリットは、複数のHDD・SSDを統括して利用するNASと比べ、外付けHDDやSSDは単体のディスクに保管するため、すべてのデータを保存できない可能性がある点が挙げられます。
また、外付けHDD・SSDを逐一接続して保存する手間や、紛失・盗難のリスクが高いこともデメリットとして考えられます。
なお、エンクロージャーを使用したNASのバックアップについては、以下の記事も合わせてご参照ください。
【リンク】ID27:拡張ストレージの接続方法について
クラウドストレージ
クラウドストレージも、現代のIT環境において多くのユーザーが利用しているサービスです。
NASと同じようにネットワーク越しにファイルを保存する仕組みですが、自分でNASやファイルサーバーを設置する必要はありません。
GoogleやAmazonなどのクラウド事業者によって展開されているクラウドストレージを利用する方法です。
クラウドストレージは、自身で機材を用意する必要がなく、アカウント情報とサブスクリプション契約のみで一定の保存容量を使用できる点が挙げられるでしょう。
また、必要に応じて保存容量のプランを更新することで、より多くの保存容量を確保できる点もメリットであるといえます。
一方、クラウドストレージはアカウント認証によって守られているとはいえ、外部事業者に自分のデータを保存することになる点が挙げられます。
個人用途ではそれほど問題となりませんが、法人などでは他事業者に機密情報を保存することが大きなリスクとなるケースもあります。
また、クラウドストレージの多くはサブスクリプション契約であり、毎月使用料を支払い続けなければならないという点もデメリットといえます。
NAS
NASのバックアップ先としてNASを利用するというのは、自身で機材を管理する手間はありますが、すべてのデータを自分の管理化で制御でき、また追加費用等も基本的に発生しない優れた選択肢です。
NAS製品の多くは、NAS専用のOS(オペレーティングシステム)を搭載しており、OS上で動作するバックアッププログラムによって、他のNAS上にバックアップを作成する仕組みもあります。
このため、外付けHDDやSSDと異なり、自動的にネットワークを通じてバックアップを作成することができます。
もちろん、外付けHDDやSSDに定期的にバックアップするアプリが展開されているケースもあります。
しかし、NASへのバックアップが外付けHDDやSSDと大きく異なる点は、NASに直接ケーブルによって接続するのではなく、ネットワークを通してバックアップを作成できるという点です。
デメリットとしては、既存のNASに加えてもうひとつNASを調達する必要がある点です。
NAS間のバックアップについては、以下の記事もあわせてご参照ください。
【リンク】ID40:【マニュアル】2拠点間のNASを相互にバックアップ(または本社をメインにして、支店にバックアップを取る)
NASのバックアップにおける種類・手順
NASにおけるバックアップには、いくつかの種類があります。
そのうち頻繁に使用されるバックアップの種類は、以下のとおりです。
・フルバックアップ
・増分バックアップ
・差分バックアップ
「フルバックアップ」は、その名のとおり、データすべてをまるごとバックアップする方法です。
毎度すべてのデータをバックアップするため、保存容量が大量に必要となります。
また、バックアップの作成に時間がかかる点も注意が必要です。
「増分バックアップ」は、前回のバックアップから追加・変更があった箇所をバックアップします。
「差分バックアップ」は、初回のフルバックアップ以降に追加・変更があった分を毎回バックアップします。
どのバックアップ方法を採用するかは状況によりますが、フルバックアップは一定期間ごと、日常的には増分または差分バックアップを短い期間で取得する、という方法が一般的です。
QNAP NASにおいては、NAS用OSである「QTS」から、バックアップ設定を行います。
QTSから、バックアップ機能を提供する「Hybrid Backup Sync」を起動し、必要なバックアップジョブを作成しましょう。
「Hybrid Backup Sync」におけるバックアップ設定手順については、以下の記事を参照してください。
【リンク】ID30:Hybrid Backup Syncによるバックアップの設定方法について
NASのバックアップ作業で注意すべきポイント
NASでのバックアップ作業においては、先の項目で解説したように、基本的にバックアップジョブを作成してバックアップを実行します。
スケジュールを作成して定期的にバックアップを作成する際も同様です。
このときに注意するべきポイントは、ジョブが正しく作成されているか、定期的なジョブが正常に実行されているかを確認することです。
また、バックアップ用のNASにデータが蓄積していく過程では、バックアップ用NASのディスク容量にも注意しましょう。
増分バックアップや差分バックアップを採用している場合には問題になりにくいですが、毎度フルバックアップを作成している場合などでは、すぐにバックアップNASのディスクがいっぱいになってしまう可能性もあります。
バックアップ用NASのディスク状況を定期的に確認していないと、ディスクがいっぱいのためにバックアップ処理が失敗し、必要なバックアップが作成されていないという事態を招きかねません。
まとめ
この記事では、NASのデータをバックアップする方法とバックアップの種類について解説しました。
NASのデータはRAIDにより冗長性を確保できますが、NAS内のデータをNAS外にバックアップすることは有益です。
この記事で解説した内容を参考に、NASのバックアップ手段を検討してみてください。