地震や水害など大規模な自然災害を経験してきた日本では、企業も事業を継続していくためにBCP対策が求められています。しかしながら中小企業庁によると、BCPを「策定済み」と回答した中小企業は15.5%であり、実際には策定していない企業が多いのが現状です。
参考)中小企業庁「BCPに係る取組の現状」
https://www.chusho.meti.go.jp/BCP対策は企業規模にかかわらず大切ですが、実際には資本や人材が不足している事業も多く、着手していない企業もあります。
被害を受けてから早急に復旧・再開できなければ、事業継続が難しくなるため重要な課題です。そこで本記事では、企業のBCP対策と、NASを活用したデータ保全の事例を紹介します。
BCPとは
まず、改めてBCPとは何かを把握しておきましょう。BCPとは、事業継続計画(Business Continuity Plan)という意味で、企業が危機的状況に陥ったとき、どのように軌道修正し、事業を継続させていけばよいか、その計画をまとめたものです。
類似する言葉には「災害対策」もありますが、災害対策は地震や水害などの自然災害に対して、従業員や建物、備品などの資産を守るために策定されるものです。
一方でBCPは、自然災害だけでなくシステム障害や不祥事、テロ攻撃などすべての非常事態に対し、その後の事業を復旧・継続するための対策や手順などを定めたものです。そこには会社や従業員だけでなく、社内データ、取引先、顧客などを守ることも含まれています。
事態が発生してから慌てて対策を講じたりしても、誤った判断につながり状況を悪化させてしまう可能性があります。BCP対策は、損害を最小限に抑えて事業を継続する戦略の1つと考えましょう。
企業のBCP対策
災害が発生すれば、規模に関係なくどの企業も打撃を受けることになるため、不慮の事態に備える必要があります。
そこで、BCPに対する基本的な考え方について理解しておきましょう。中小企業庁では、一般的なBCP策定として次のようなポイントをあげています。
■会社で継続・復旧するべき商品または事業を特定し、優先順位をつける
■被害状況を確認し、復旧までの目標時間(日数)を決める
■取引先と緊急事の連絡、連携体制などを話し合っておく
■拠点や設備、仕入れ調達など代替策、データのバックアップなどを用意しておく
■BCPに対する従業員との共通認識、研修などの実施
参考)中小企業BCP支援ガイドブック
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/2018/180420BCPshiryo1.pdfBCP対策は、経営戦略としても有効です。というのも、BCP対策を見直すことによって自社の中核事業や重要業務、重要なデータなどを洗い出すきっかけになり、経営戦略の改善やトラブル対策につながるためです。
ただ社会情勢やビジネスは常に変化しており、一度策定したBCPはいつまでも有効とは限らないため定期的な見直しを行い、必要に応じて改訂していきます。改訂するたびに社員への認知、意識向上を図りましょう。
BCP対策とNASの導入の事例
BCPの取り組みの1つにあげられ、すぐに実践できるのがデータ保全で、事業復旧のためにも重要です。
安全なデータ共有・保存ができる体制として、NASが活用されているので、いくつかの事例をあげていきます。
ある認知症疾患医療センターでは、医療 データの共有を行うためにNASを導入しました。 以前は、パソコンに外付けハードディスクを接続してデータを保管していましたが、より安全な環境を整えたいと考え、NASで保管しています。
NASは、施設と離れた場所にある拠点にも1台置き、バックアップの同期を行っています。万が一災害が発生しても、どちらかにデータが残る仕組みをつくっています。
また、ある通信システム会社は全国に営業拠点を設けている体制を利用して、NASリレーサービスを活用しています。NASリレーとは、複数のNASのうち1台が制御・管理を行い、他が制御される方式のことです。
リレーサービスは、リモートアクセスで情報共有やバックアップを行うため、災害が発生してもデータ消失のリスクが少ない堅牢なシステムです。
この会社では、以前からNASを各所に配置して情報を共有していましたが、同時期に2台故障しそれらの事業が停滞、復旧に時間とコストがかかった経験からリレーサービスを開始しました。
これによりデータ消失のリスクが軽減し、情報システム担当者がいない営業所でも安全に管理できるようになっています。
まとめ
これまで蓄積してきた社内データ、機密情報や取引先・顧客情報など、データがあれば復旧できる見込みは早くなりますが、反対にデータを失えば1から始めなければならず時間がかかります。
データの消失は企業の信用問題にも関わるため、BCP対策を行っている企業としか取引をしないという会社も存在するほどです。より確実に、安全にデータを守る体制としてぜひNASの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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