映像やCGなど、クリエイティブな制作を行う企業においては、データの受け渡しや社内・チーム内での共有に手間を感じる機会が少なくないでしょう。
ただデータを受け渡すだけであれば、外付けHDDやUSBメモリーを活用するという選択肢もあります。
しかしながらこの方法では、リアルタイムに複数のチームメンバーが同じ案件のファイルを共同で閲覧したり編集したりすることはできません。
このようなクリエイティブ制作のシーンでは、NASというソリューションが課題解決に繋がる可能性があるのです。
映像・CGを制作する企業にはNASが最適な理由
NASといえば、ファイルを保存しておく場所という認識を持つ人も少なくありません。
もちろん、ファイルを保存しておき共有できるということがNASの根本的な機能ですが、映像やCG、PhotoshopやIllustratorを使って業務を行っている企業にとっては、NASは非常に有用な共有ストレージとなり得ます。
以下に、その理由について解説します。
社内・チーム内のデータを集中管理できる
映像や画像、CGなどを制作する現場では、複数のメンバーが同一の制作物のプロジェクトファイルに対して共同作業を行うケースが多くあります。
近年では大容量の外付けHDDやファイル転送速度の速いポータブルSSDなどの選択肢もありますが、リアルタイムに複数のユーザーがアクセスするような運用はできません。
このような機能が提供できるのは、NASの大きなメリットであるといえるでしょう。
加えて、制作メンバーが閲覧する資料や指示書など、プロジェクトファイル以外のファイルの共有・アクセスにもNASが活躍してくれます。
データ破損や消失に備えられる
映像や画像の制作において、プロジェクトファイルは納品物であり成果物でもあります。
しかし、制作したプロジェクトファイルがストレージの不具合により破損・消失してしまう危険性は、残念ながらゼロにはなりません。
社内で使用しているパソコンから外付けHDDなどにバックアップすることも選択肢ではありますが、NASシステムの多くは外部ディスクにバックアップする手間もなく、RAID構成にすることによってデータの冗長性を確保することができます。
万が一のためのバックアップとリカバリ機能が標準装備されている
RAID構成のほかにも、多くのNASはデータの安全性を確保するための仕組みが標準装備されています。
こうした機能を活用することにより、重要なデータを自動でバックアップすることができるため、予想外のタイミングで訪れるHDDなどの故障によって、業務が停滞する危険を避けることに役立ちます。
どこからでもアクセスできるリモートアクセス機能がある
ファイルを保存する場所としてNASを捉える場合に、ネットワークに接続されているという点は見逃せないポイントです。
社内であっても、部署や階数が異なる部門間では、ファイルの共有には可搬性のあるストレージが必要となります。
しかしながら、NASであればネットワークのある場所からはどこからでも同じファイルにアクセスすることができます。
また、近年脚光を浴びているテレワーク・在宅勤務においてもNASは活用しやすく、チームメンバーが在宅勤務となっても変わらず制作を継続することができる環境を作れるでしょう。
複数ユーザーからのアクセスに耐えるパフォーマンスを発揮できる
映像や高画質画像のプロジェクトファイルは、一般的にエクスポートしたファイルよりもファイルサイズが小さくなります。
しかし、エクスポート済みのファイルを納品物として確認したいケースもあるでしょう。
エクスポートしたファイルはプロジェクトファイルと比べて大容量となり、さらに複数のユーザーが同一のファイルにアクセスすることで、ストレージに負荷がかかるケースがあります。
NASは、ファイルの再生に必要な計算を各クライアントのプロセッサー・メモリーに依存することなく、NAS自身でファイルを処理することができます。
この特徴は、複数のユーザーがアクセスしても問題を発生させないというメリットに繋がるのです。
NASはどのように選ぶ?仕様と選択基準
大容量となりやすい映像や画像、CGなどの制作を行う場面で活用するNASは、どのように選択するとよいのでしょうか。
NASを選択する際のポイントは複数あります。
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
必要なパフォーマンスを実現するプロセッサーとメモリー
NASは、NAS自身がプロセッサーやメモリーを装備していることにより、クライアントの性能に左右されずファイルの処理を行うことができます。
言い換えれば、クライアントとなる複数のパソコンからのアクセスに耐え得るパフォーマンスを発揮する必要があり、それは各クライアントに肩代わりさせることはできないということを意味しています。
映像編集やグラフィックデザインソフトウェアの要求に対応できる充分なプロセッサーとメモリーを搭載したNASデバイスを選択することが重要です。
将来的な利用を見据えたストレージ容量
NASは本質的にストレージであり、ファイルを保管することが第一義的な目的です。
そのため、自社で扱うファイルを充分に保管できることが必要です。
現時点でのファイルサイズのみならず、ビジネスが今後も継続していくことを見越して、将来的にも不足が生じにくいような容量を確保できるNASデバイスとディスクを選択しましょう。
冗長性と安全性を確保できるRAID構成
RAIDは、ファイルサーバーやNASにおいて活用されることが多い技術のひとつです。
かつては高速性を重視してRAID 0(ストライピング)を選択するケースも稀にありました。
しかし主流といえるのはデータの冗長化のためのRAID 1(ミラーリング)をはじめ、冗長化と高速処理の両方を実現するRAID 10や「パリティ」と呼ばれるデータ復元用の符号を書き込むことで耐障害性を高めたRAID 5などです。
NAS製品は基本的にRAID構成に対応していますが、一部古いモデルでは対応していないRAID構成(レベル)もあります。
安全性・冗長性・高速性など、自社がNASに求める結果を実現できるNASデバイスを選択することが必要となります。
大容量ファイルもスムーズに転送できるネットワーク速度
映像・高画質画像などの大容量データを転送するには、ディスクのデータ転送速度を決める回転速度、インターフェースの種類のほかに、ネットワーク速度も大きく影響します。
自社の社内ネットワークが高速であったとしても、NASデバイス側が高速転送に対応していない場合、業務利用においてNASがボトルネックとなってしまうケースがあります。
反対に、NAS側は高速転送に対応していても、ネットワーク速度は使用しているネットワーク環境に依存するということも想定しておくことが重要です。
NASの利便性を充分に活かせるソフトウェアの提供
NASの多くは、デバイスを活用するためのソフトウェアと併せて活用することを想定されています。
NASに保存したファイルの管理、モバイル環境からファイルにアクセスする機能、クラウドバックアップなどの機能が代表的です。
NASデバイスの導入を検討する際には、自社で必要となる機能がソフトウェアで提供されているかを確認し、NASの活用方法を具体的にイメージすることが重要です。
コストパフォーマンスを意識した予算
NASデバイスには様々なバリエーションがあります。
パフォーマンスや機能を追求すれば、大容量・高速転送が実現できるNASデバイスを見つけることは容易でしょう。
しかしながら、多くの企業では導入するデバイスに予算という制約が課せられます。
実際の業務で利用するファイルの量や利用人数、具体的な活用シーンを想定し、コストとのバランスが取れるNASデバイスの選択をする必要があります。
映像やCG、Photoshopなどを扱う場面で選択するべき仕様とは?
NASに保管されるファイルには様々な種類がありますが、特に映像やCG、Photoshop、Illustratorなどを扱う企業で選択される仕様とはどのようなものでしょうか。
ストレージ容量やプロセッサー、そしてRAID構成とディスクの選択などについて、以下の項目で詳しく解説します。
パフォーマンスと容量はどのように決めるか
まずはNASデバイスの可用性に関わるパフォーマンスの部分です。
映像やCG、高画質画像を制作するビジネスにおいては、マルチコアプロセッサーを搭載しているモデルを選定するのがよいでしょう。
主流なプロセッサーはIntelやAMDが挙げられます。
仮に、10人程度のチームで同時にアクセスする場面があるという環境であるならば、プロセッサーは最低でも4コア、できれば8コア以上が推奨されます。
メモリーは最低8GBが必須ですが、できれば16GB・32GBの導入が無難です。容量については、できるだけ多くのデータを保存でき、かつRAID 5またはRAID 6をサポートするよう、少なくとも4以上のディスクベイを持つNASデバイスを使用するのがよいでしょう。
HDDとSSDはどちらを選ぶべきか
HDDはストレージとして比較的長い歴史を持ち、パソコンにおいても採用されています。
保存容量と価格のバランスがよい反面、転送速度に限界があるという特徴があります。
SSDは1台あたりのコストは高く、容量も同価格のHDDと比較すると小さくなりますが、アクセス速度が格段に速いという特徴があります。
大容量ファイルを「保存しておく」ことと「活用する」ことを両立させるNASデバイスにおいては、必要容量を満たしたSSDを配置することが理想的です。
しかしながら予算的な制約があるケースもあるため、利用シーンに合わせたディスクの選択が重要です。
大容量ファイルを扱う際におすすめのNAS
以下には、映像制作やCG、高画質画像などの大容量ファイルを扱う際におすすめのNAS製品について解説します。
QNAP TS-873A
「QNAP TS-873A」は、AMD製Ryzen V1500Bのプロセッサーを搭載しており、クロック周波数2.2GHzでの稼働が可能です。
メモリーは最大64GBに対応しているほか、ドライブベイは8つ備えているため、大容量のファイル保存、安全性を確保したRAID構成にも余裕があります。
また、頻繁にアクセスするデータをSSDに保存しておくことで、よりアクセス速度を高める「SSDキャッシュアクセラレーション」をサポートしており、業務利用で活用しやすいNASデバイスです。
ネットワークについては、2.5GbEのLANポートを2つ備えており、高速な社内ネットワークにも対応可能です。
Synology DS1621+
「Synology DS1621+」は、先に解説した「QNAP TS-873A」と同様のAMD製Ryzen V1500Bをプロセッサーとして搭載しており、メモリー容量は最大32GBまで拡張可能です。
「Synology DS1621+」の最大の特徴といえる拡張性はドライブベイに現れており、拡張ユニットである「DX517」を接続することで、最大16ベイまでディスクを搭載することができます。
社員が多いために共有するデータの量が多い場合や、同時進行する制作案件が多い場合などでもストレージ容量の不足を感じにくいでしょう。
ネットワークについては、追加アクセサリーであるインターフェースカードの装着で10GbEに対応することが可能です。
まとめ
この記事では、映像や画像、PhotoshopやIllustratorを利用する企業においてNASを活用する場合にどのようなNASデバイスを選ぶべきかについて解説してきました。
NAS選びはパフォーマンスだけでなくコストも無視できません。
必要な容量や転送速度を確保しつつ、予算との兼ね合いも検討しながら判断する必要があるでしょう。
上記の2つのモデル以外にもQNAPとSynologyは幅広いラインアップによりビデオやCGの制作、Photoshop、Illustratorなどを使用するビジネスに最適なNASを見つけることができるでしょう。
NASについてどれを選べばよいかわからない場合や判断に迷う場合は、弊社までお気軽にご相談ください。
お客様のご予算や環境などお伺いしたうえで最適なNASをご紹介いたします。
QNAPは台湾のネットワーク機器専業メーカーで、世界28カ国で展開するグローバル企業です。IT機器の専門商社で、QNAPの正規代理店でもあるテックウインドは、豊富なノウハウを基に的確なモデル・構成のご提案をいたします。
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