企業などの組織において、社内ネットワークを使って業務を行っている場合には、避けて通れないのがドメインという機能、そしてドメインコントローラーというサーバー機器です。
ドメインコントローラーは従来、サーバー専用機を用いて構築されてきましたが、近年ではNAS製品の中にもドメインコントローラーの機能を提供できる製品があります。
この記事では、ドメインコントローラーの概要、NASをドメインコントローラーとして利用する際のポイントや方法について解説します。
ドメインコントローラーとは?
企業内・組織内など、複数のコンピューターやプリンターなどのIT機器が存在するWindowsネットワーク環境においては、ネットワーク内のユーザーアカウントやパスワード、認証情報などを管理する必要があります。
こうした情報を管理するのが「Active Directoryドメインサービス」を中心としたActive Directoryと呼ばれるサービス群です。
ドメインコントローラーとは、この「Active Directoryドメインサービス」を提供するサーバーのことを意味します。
ドメインコントローラーはネットワーク内のクライアントコンピューターの認証を行い、適切にリソースへのアクセス権を付与するなどの管理を行う機能を持っています。
ドメインとドメインコントローラー
Active Directoryの文脈では「ドメイン」という用語が登場します。
「ドメイン」とは、端的に表現すれば「企業内のネットワーク上にあるコンピューターやユーザーアカウントを組織化する仕組み」を指します。
例えば、ある企業がオフィス内にコンピューターを設置したとします。
このコンピューターは、その企業に所属しているという認証を受けて企業内のネットワークに接続されることにより、その企業のドメインに所属することとなります。
ドメインは、社内で使うアカウントやセキュリティ設定が適用されており、社員は組織の一員としての自分のアカウントでログインすることによって、ドメイン内のリソースにアクセスできます。
つまり、ドメインはネットワーク内の組織化や管理を効率化する仕組みなのです。
そして、ドメインコントローラーは、ドメイン内での認証やセキュリティ管理を担当するサーバーです。
具体的には、ドメイン内のユーザー管理やリソースへのアクセス権の管理、グループポリシーの適用などを行います。
ドメインコントローラーがこれらの役割を適切に果たしていないと、ドメインの管理やセキュリティが十分に機能しません。
つまり、ドメインコントローラーはドメイン内の中核的な役割を担う重要なサーバーです。
Active Directoryとの違い
Active Directoryは、ドメインの機能を使用する際に採用されるケースが多い機能であり、場合によっては「Active Directoryとドメインコントローラーは同じものである」という認識になってしまうケースもあります。
しかし厳密には、ドメインコントローラーはActive Directoryのドメイン機能を提供するサーバーのことを指しており、Active Directoryはドメイン機能、認証機能を中心とする「仕組み」のことを指しているという違いがあります。
なお、Active Directory以外にもSambaやFreeIPA、Zentyalなどのドメインサービスを提供する機能があり、これらの機能を提供するサーバーもまたドメインコントローラーと位置づけられます。
QNAP NASをドメインコントローラーとして利用する方法
QNAPのNASをドメインコントローラーとして利用する際には、NASの管理を行う管理画面「QTS」から操作します。
QTSからドメインコントローラーとして利用する手順は2段階です。まず、NASをドメインコントローラーとして利用するための有効化操作を行い、続いてドメインユーザーを追加します。
まずは、QTSのメイン画面から「コントロールパネル」を開き、「権限設定」の項目の中にある「ドメインコントローラー」を選択します。
「ドメインコントローラーを有効にします」のチェックボックスをオンにすると、ドメインの情報を入力する項目が表示されます。
ドメイン名、管理者パスワードを入力して「適用」をクリックします。
「ドメインコントローラーを有効化するためには、高度なフォルダー権限を有効化する必要があります」という画面が表示されたら「OK」をクリックして、拡張パーミッション設定の画面に移動しましょう。
次の画面では「拡張フォルダー許可を有効にする」「Windows ACLサポートを有効にする」の2つの設定項目が表示されます。
「拡張フォルダー許可を有効にする」のチェックボックスをオンにして「適用」をクリックすると、ドメインを有効化できます。「Windows ACLサポート」は、Windowsのエクスプローラーから共有フォルダーにアクセスする際に必要となる項目です。
次に、ドメインユーザーを追加します。ドメインを有効化した後の「ドメインコントローラー」の項目には「ユーザー」のタブが追加されています。ここから「作成」「ユーザーの作成」へと進みます。
表示されたユーザーの作成画面から、ユーザーに関する情報を入力して「次へ」をクリックします。
次の画面では、ユーザーアカウントのオプションが表示されます。必要があればチェックボックスをオンにして「次へ」をクリックして進みましょう。
次の画面では、作成したユーザーをどのグループに所属させるかを選択して「次へ」をクリックします。
最後に「完了」をクリックすると、ユーザーの作成が完了します。
これで、QNAP NASをドメインコントローラーとして利用することができます。
NASをドメインコントローラーとして利用する際の注意点
NAS製品の中にはドメインコントローラーとして利用できるものもあります。しかし、NASをドメインコントローラーとして利用するうえではいくつかの注意点があります。以下に、次のような注意点について解説します。
・セキュリティとネットワーク構成について
・性能と機能について
・データのバックアップについて
それぞれ具体的に見ていきましょう。
セキュリティとネットワーク構成について
セキュリティ設定は、NASをドメインコントローラーとして利用するうえで非常に重要です。
Active Directoryサービスを提供するドメインコントローラーは、組織の認証情報を扱う重要な役割のサーバーです。
不正アクセスの防止、適切なポートの制限を確保する必要があります。
NASは元来外部ネットワークとの通信が可能である点も可用性を高めているポイントです。
しかしながら、ドメインコントローラーとして活用する際には、外部との通信を行うポートの一部が開放されていることがセキュリティリスクとなります。
ポートの状態をしっかりと確認したうえでドメインコントローラーとして稼働させるよう心がけましょう。
性能と機能について
NASがドメインコントローラーとして利用できるかどうかは、該当のNAS製品の性能と機能による部分も大きいといえます。
ディスク容量やネットワーク通信を行うモジュールの性能などはわかりやすい指標です。
ドメインコントローラーは、特に企業内で使用される場合、従業員の認証情報を扱うサーバーです。
万が一性能不足によりドメインコントローラーが応答を停止したり、遅延を生じたりする場合には、従業員の業務が停滞するリスクがあることに注意が必要です。
NAS製品の性能・機能にも気を配り、ドメインコントローラーとして稼働させることができるかを判断する必要があります。
データのバックアップについて
ドメインコントローラーは、組織のネットワークを維持する要です。ドメインコントローラーが適切に稼働しなくなると、ドメインやネットワーク全体の混乱や不具合を引き起こすケースも考えられます。
最低限の対策として、既存のドメインコントローラーの重要なデータのバックアップを作成し、必要に応じて復元できるようにしておくことが必要といえます。
まとめ
この記事では、
ドメインコントローラーとは何か、NASをドメインコントローラーとして利用することについて解説しました。
NASをドメインコントローラーとして利用する場合に、どのような製品を選べばよいかわからないという場合もあるでしょう。
NAS製品の選定においても、ノウハウや知識は必須です。
QNAPは台湾のネットワーク機器専業メーカーで、世界28カ国で展開するグローバル企業です。
IT機器の専門商社で、QNAPの正規代理店でもあるテックウインドは、豊富なノウハウを基に的確なモデル・構成のご提案をいたします。
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