データ保存媒体は、現代ではHDDやSSDが一般的です。
一方で、個人情報や外部に共有できない機密性の高いデータを保存する場合や、数十年に及ぶ長期保存を必要とする場合には「LTO」と呼ばれる保存媒体が選択肢となります。
この記事では、LTOのデータ保存媒体としての特徴と、QNAP NASとLTOとの組み合わせについて解説します。
データ長期保存の選択肢
現代では企業や官公庁、病院など、様々な業種でデジタルデータを使って業務が行われています。
もちろん、どのような業種のデータであっても、業務利用される以上は重要なデータであり、それを失わないようにバックアップ・スナップショットなどの対策が講じられています。
一方、極めて長い期間にわたってデータを保存しなければならない事例もあります。
税務関連の書類は、通常3〜5年、長くても10年程度の書類データの保存年限が定められていますが、特に医療関連や官公庁関連のデータでは、永年保存となるデータや30年以上、50年以上保存しなければならないものもあるでしょう。
データの保存媒体には、多くの場合HDDなどで知られる磁気ディスク、CD-Rなどで知られる光学ディスク、SSDなどで知られるフラッシュメモリーなどが使用されます。
ただし、いずれの媒体にも弱点があります。
たとえば磁気ディスクは衝撃・温度変化・異物侵入などによって磁気ディスクからのデータの読み取りができなくなる場合があります。
光学ディスクは、ディスク表面の傷やディスク自体の劣化・変形などを原因としてデータの読み取りができなくなります。
フラッシュメモリーは衝撃には強いですが、長期保存によりデータが消失する場合があり、構造上書き換えの上限が決まっていること、また容量あたりの単価が高いことなどは難点といえるでしょう。
その他の選択肢として「LTO」があります。
LTO(Linear Tape-Open)とは磁気テープの規格の一つです。
かつて映像や音楽の保存媒体として使われていたVHSやDATテープのように、ドライブにカートリッジ(テープ媒体)を挿入して使用します。
LTOはSeagate Technology、Hewlett Packard(HP)、IBMの三社による共同開発によって生まれ、高い信頼性を必要とする病院、銀行、放送局などのデータ保存媒体として活用されています。
データ喪失の主な要因
様々な業種の法人・企業が恐れる「データ喪失」というリスクですが、データ喪失が起こる原因は複数あります。
もっとも想像しやすいのがサーバーやストレージ、パソコンに故障・障害が起こる事例です。
もちろん、機器の破損は日常的に発生する危険があるため、単一の機器に障害が発生してもデータが失われないよう、バックアップの取得などが行われます。
一方、大規模災害によるデータ喪失も見逃せません。
東日本大震災では、自治体の戸籍・住民基本台帳データが一時的に使用不能になるなど、データ分野でも大きな損失が発生しました。
大規模災害の問題点は、たとえば本社のデータをサーバーと同一のロケーションに設置したバックアップサーバーに保管していても、災害によって両方のデータが失われてしまう危険性です。
このような危険に対応するため、現代ではネットワークを通じて、遠隔地にバックアップデータを保管するという試みが行われています。
これにより、あるエリアで大規模災害が発生しても、バックアップデータが存在する地域は災害に見舞われるリスクを低減できます。
しかし、ネットワークを通じて様々な企業・法人・官公庁のデータが行き来するようになり、重要なリスクも浮上しました。
それがネットワークを通じて侵入し、データ暗号化による利用不能化、システムロックなどの振る舞いを示す「ランサムウェア」という脅威です。
ランサムウェアという新たな脅威に対応するためには、バックアップデータをオフラインで保存する必要があるのです。
LTOがデータ保存で利用される理由
LTOはHDDやCD、SSDなどと比較すると、一般的な業務用途では必ずしも身近な存在ではないでしょう。
しかし、データ喪失リスクの最小化という目的の達成において、LTOは現在も選ばれ続ける技術です。
LTOの最大の特徴は、極めて長い期待寿命です。
一般的なHDD製品の期待寿命がMTBFを基準として3~5年、実運用での交換サイクルがこれより長いとしても5~10年を超えることは稀であるとされます。
これに対して、LTOの期待寿命は30年を超えるものもあり、長期間のデータ保存における信頼性の高さが評価されています。
また、LTOには「WORM機能」と呼ばれる、改ざんやデータ消去・上書きを防止する機能も付与されており、長期間にわたり信頼できるデータ保存媒体として位置づけられています。
また、データの読み書きに専用のドライブが必要となる一方で、LTO自体の保存可能容量が大きく、コストはSSDやHDDよりも容量あたりの単価が安いという特徴、また消費電力を抑えられるなど、低コスト・低エネルギーで稼働する点も重要です。
さらに、LTOの世代に応じて非圧縮時で360MB/s、圧縮時では理論最大値で900MB/sにも達する場合がある高いデータ転送速度もHDDやSSDと比較したLTOの優位性として認識されています。
QNAP+LTOによるランサム対策&データ長期保存体制の構築
QNAPのNASは、HBS3(Hybrid Backup Sync 3)を使ったバックアップ機能を提供しています。
ローカルNASからリモートNASへのバックアップのほか、クラウドストレージへのバックアップなど、多様なバックアップ方法を選択できることにより、企業のデータ喪失に対する備えとして強力な選択肢を提供しています。
しかし、セキュリティポリシーや個人情報保護法などにより、企業のデータ運用方針やデータ内容によっては外部ネットワークへのバックアップを採用できない場合もあります。
官公庁や銀行、医療などのセンシティブなデータを含む事業者のデータはその代表といえるでしょう。
また、先に指摘したとおり、リモートNAS、クラウドストレージなどネットワーク経路が増えるほど、ランサムウェア被害の及ぶ範囲が拡大するリスクも増大します。
LTOによるデータ保存は、ネットワークから切り離し、ネットワーク非接続状態でのデータ保管を可能にします。
QNAP NASは、UNITEX社製のLTOドライブに対応しており、NAS内のデータをLTOドライブに手軽に出力することができます。
UNITEX製LTOドライブは、USB接続によりパソコンや専用のバックアップ用端末を経由せず直接NASへ接続可能であるため、LTOへのバックアップ開始もスムーズにできるでしょう。
QNAPでは、UNITEX製LTOドライブとQNAP NAS、HDDとをセットとしたバンドルも提供しています。
LTOドライブの導入、NASとの連携を検討している場合は、ぜひお問い合わせください。
LTOドライブにアーカイブまとめ
この記事では、データ保存媒体としてのLTOの位置づけと、QNAP NASとLTOによるランサムウェア対策・データ長期保存体制の構築について解説しました。
現代では、データ保存媒体はHDDやSSDが一般的ですが、長期保存・オフラインでのデータ保存・低エネルギー・低コストなどの特徴を兼ね揃えるデータ保存媒体は、LTOを置いてほかに見出すことは困難です。
自社のデータ運用、データ安全性などを鑑み、LTOの導入を検討しているご担当者は、この記事で解説した内容を参考にして、LTOドライブの検討に活用してみてください。