企業のIT化が浸透してきた現代では、企業内ネットワークを流れるデータ量も多くなります。
データ量が多くなった際には、ネットワーク全体の速度遅延が発生するなどの弊害があります。
そこで、この記事ではネットワークトラフィックの優先順位を決定し、快適なネットワーク環境を維持する「QoS」について解説します。
QoS設定とは
ネットワークにおける「QoS」とは「Quality of Service」の略語です。
Quality of Serviceは直訳すれば「サービス品質」と訳せます。
これが転じて、ネットワークでは通信の品質のことを指します。
通信の品質とは、主に通信速度を指し、QoSの文脈では、主に「重要な通信に遅延が生じないような仕組み」を意味しているのです。
ネットワークを流れる情報・トラフィック量は日々増大していますが、ネットワーク速度や帯域幅には技術的な限界があります。
トラフィック量が増加しても、重要な通信を快適に行えるネットワーク環境にするためには、QoSの仕組みが欠かせないのです。
QoSのパターン
QoSには、いくつかの代表的な手法(パターン)が存在します。
QoS実現のパターンは大きく分けて、以下の3つに分類できます。
・IntServ(Integrated Services)
・DiffServ(Differentiated Services)
・Best Effort
それぞれ具体的に見ていきましょう。
IntServ(Integrated Services)
IntServ(Integrated Services)は「帯域制御」と訳される技術です。
帯域制御は、ネットワークを流れるトラフィックのうち、特定のアプリケーションの通信用に帯域を確保しておく手法です。
帯域制御は、重要な情報に最低限の帯域を確保する「帯域保証」という技術と、優先度の低い帯域に上限を設ける「帯域制限」という技術の2つがあります。
帯域制御では、ネットワーク全体の帯域を特定のアプリケーションで占有するわけではありません。
そのため、該当のアプリケーションが最大の帯域幅を利用すると、ネットワーク全体で遅延が生じるおそれがあります。
また、QoSの技術の中では比較的機器への負担が大きい技術であることはデメリットといえるでしょう。
DiffServ(Differentiated Services)
DiffServ(Differentiated Services)は「優先制御」と訳される技術です。
優先制御は、ネットワーク全体での通信の種類に着目して優先順位を決定する技術です。
優先制御で優先度を決定後、優先度の高いパケットを先に送信することで、ネットワーク全体でのパケットロスや通信遅延を起こさせない技術です。
パケットの優先順位の決定には「ToS(Type of Service)」や「DSCP(Differentiated Services Code Point)」などの値が使われます。
優先制御では、アプリケーションに関わらずパケットの種類によって優先順位を決定するため、帯域制御よりも遅延が発生しづらいことを特徴とします。
優先制御はQoSでは広く採用されている手法です。
Best Effort
Best Effort(ベストエフォート)は、QoSの中では「何ら特別な制御を行わない」という設定です。
データ伝送の順番は、単純な先入れ先出しの方式で行われます。
ベストエフォートはネットワーク機器でのQoSのデフォルト設定であるため、ユーザーやメーカーがあえて他のQoSを設定していない場合、基本的にベストエフォートで処理されます。
QoS設定ができる代表的な機器
ネットワーク機器を利用する場面では、QoSは重要な手法です。
特に、常にネットワークトラフィックが生じる機器ではその重要度が高いといえるでしょう。
ユーザーに馴染みの深いネットワーク機器のうち、QoS設定ができる代表的な機器として、以下の2つの例を解説します。
・ルーター
・NAS
それぞれ具体的に見ていきましょう。
ルーター
家庭においても、企業の事務所などにおいても同様にネットワークの中枢となるのがルーターです。
ルーターの一部モデルでは、QoSの設定が可能なものがあります。
ルーターの設定は管理画面等が用意されている例が多く、QoS設定に対応しているモデルでは、その管理画面からQoSを設定できるでしょう。
ただし、GUI上では「帯域制御」や「優先制御」などの文言ではなく、アプリケーションや通信種類ごとに優先度の高低を選択するなど、簡略化されている例もあります。
NAS
ネットワークを経由してファイルの保存・共有が可能なNASも、大量のデータトラフィックが生じることから、QoS設定機能を持っている例があります。
NASはメーカー独自のOSを搭載している例が多く、OSごとにNASの管理用アプリケーションが用意されているのが一般的です。
たとえばQNAP NASは「QTS」と呼ばれるOSがインストールされており、QTSから各種設定項目にアクセスできるほか、各種管理ツールをインストールできます。
QNAP NASのQoS設定は、エンタープライズ向けモデルのOSである「QES」でのネットワーク設定項目(QuNetSwitch)で設定が可能です。
ただし、一般ユーザー向けモデルはQoS設定に対応していません。
まとめ
この記事では、ネットワークにおけるQoS設定について解説しました。
企業でIT化が進むほど、ネットワークを経由してデータをやりとりする事例も多くなるでしょう。
しかし、ネットワークを流れるデータ量が多くなればなるほど、QoSの重要性は増します。
オフィス内のネットワーク速度が遅いなど、ネットワークの最適化を検討する際には、QoS設定を見直すこと、QoSに対応したネットワーク機器を選択するなどの対策も検討してみるのがよいでしょう。
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