NASは、法人など複数のユーザーがファイルを保存・共有する際に便利に使えるデバイスです。
しかし、NASを業務活用する際に「NASが遅い」と感じるケースは珍しくありません。
NASを利用する際のユーザーの体感速度は、NASで行われている様々な処理と、通信速度との合計です。
この記事では、NASを使う際の速度について解説し、ネットワーク・ハードウェアの両面からNASの速度向上のポイントを解説します。
NASの「速度」とは
NASを利用する際の体感速度には、ユーザーがデータをアップロード・ダウンロードする過程で様々な処理が行われるためです。
以下に、NASの速度を決定付ける様々な要素について解説します。
・ネットワーク速度
・NASの処理速度
・ファイル読み書きの速度
それぞれ具体的に見ていきましょう。
ネットワーク速度
NASとユーザーのパソコンとの通信が行われる際のネットワーク速度については、NASの速度に大きな影響があるポイントとして理解しやすいでしょう。
特に、大容量のファイルをアップロード・ダウンロードする際には、ネットワーク上を流れるデータの量が多くなり、その分速度が遅くなるという点は、たとえばインターネット上などからファイルをダウンロードする際と同じです。
もう少し詳しくネットワーク速度について解説しましょう。
ネットワーク速度は「通信速度」と「帯域幅」によって決まります。
この関係を理解する際に「道路」を例としてみましょう。
車をデータと仮定すると、通信速度は道路の最高速度であり、帯域幅は道路の広さを表します。
ひとつひとつの車(データ)が高速に移動すれば、早くデータの転送が完了します。これに加えて、道路の幅(帯域幅)が広ければ、複数のデータが同時にネットワークを移動できます。
つまり、ネットワーク速度を高めるためには、通信速度と帯域幅の両面を向上させることが有効です。
NASの処理速度
NASはストレージ機器ですが、パソコンと同じようにプロセッサー、メモリーを搭載しています。
NASのプロセッサーやメモリーは、NAS上で動作するアプリケーションなどの実行速度に影響を与えますが、ファイルの読み書きにも部分的に影響します。
NASが影響している作業の例は以下のとおりです。
・リアルタイムにログの記録
・スナップショットの作成
・バックアップ処理
これらの処理がプロセッサー・メモリーなどの処理速度によってボトルネックとなっている場合、ユーザーの体感としてNASの速度が遅く感じるケースがあるでしょう。
ファイル読み書きの速度
NASに搭載されている記録媒体はパソコンと同じように、HDDやSSDです。
コストパフォーマンスの観点から採用例が多いのはHDDですが、HDDはデータを記録する際にプラッタと呼ばれる円盤にデータを書き込みます。
この稼働速度が速いほど、ディスクへのデータ書き込み速度が早くなります。
SSDは円盤ではなくフラッシュメモリーにデータを書き込むため、一般にHDDよりも高速です。
これらの速度によって、NASのファイル読み書き速度が決まります。
NASのアクセス速度向上方法
NASの速度を向上させる際に、ネットワーク面での対処を検討する場合には、以下の項目が主なチェックポイントとなるでしょう。
・ネットワーク機器の見直し
・ジャンボフレーム設定
・SNP機能の見直し
それぞれ具体的に見ていきましょう。
ネットワーク機器の見直し
NASとのアクセス速度を向上させるための最も基本的な方法としては、ネットワーク機器の見直しです。
ネットワーク構成は企業ごとに様々な構成が考えられます。
しかし、基本的には以下の構成になることがほとんどです。
1.ONU(光回線終端装置)
2.ルーター
3.スイッチングハブ
4.デバイス
デバイス側でネットワークモジュールを見直すことは難しいですが、ルーターやスイッチングハブは比較的安価に見直し・リプレイスが可能です。
より高速な通信速度、より広い帯域幅を持つネットワーク機器に見直しを行うことで、NASへのネットワークアクセス速度を向上できるでしょう。
ジャンボフレーム設定
NASの運用において、大容量のファイルを頻繁にアップロード・ダウンロードする場合は「ジャンボフレーム設定」を行うことで速度向上を実感できる場合があります。
ジャンボフレーム設定とは、ネットワーク規格である「イーサネット」の最大フレームサイズを超える設定を行うことです。
ジャンボフレーム設定を有効にすることで、一度に転送するデータサイズが大きくなり、転送の回数が減ることによって結果的に速度が改善するという仕組みです。
ただし、ジャンボフレーム設定は、通信経路にある全てのネットワーク機器がジャンボフレーム設定に対応している必要があため注意してください。
また、ジャンボフレーム設定を有効化することでネットワークが不安定になるなどの可能性も考えられます。
ジャンボフレーム設定を有効化する場合には、ネットワークの状況を確認しながら慎重に行うのがよいでしょう。
SNP機能の見直し
ネットワーク速度に関するもう一つの選択肢は、SNP機能の見直しです。
通常、ネットワークに接続する際にはデバイスのCPUが様々な処理を行います。
しかし、CPUの性能によってはこの処理によって、通信にわずかなラグ(通信遅延)が生じることがあります。
SNP機能は、通常CPUが一括して行うこれらのネットワーク処理を、NIC(ネットワークインターフェースカード)やその他のハードウェアに分散して処理させる機能です。
分散して処理することにより、通信遅延を防ぎ高速化できる可能性があります。
ただし、SNP機能はジャンボフレーム設定と同様に、ネットワークが不安定となるリスクがあります。
充分な検証を行ったうえでの実施が必要な点には注意してください。
NASの読み書き速度向上方法
NASの高速化において、ネットワークではなく読み書き速度の向上を図る選択肢には、以下のようなポイントがあります。
・RAIDレベルの検討
・搭載ディスクの変更
・運用面の再検討
それぞれ具体的に見ていきましょう。
RAIDレベルの検討
複数のディスクを搭載するNASモデルにおいては、搭載ディスクを組み合わせて冗長性を確保する機能「RAID」を使うのが一般的です。
特に企業でのNAS利用においては、一般的に冗長性を重視したRAID5やRAID6が選定されます。
これらのRAID構成は、確かにディスク故障の際にもミラーリングとパリティの書き込みによって復元性を高めています。
しかし反面、それによって読み書きの速度が低下してしまうデメリットもあります。
企業内でのNASの用途に合わせて、より高速なRAID10やRAID1などのレベルに変更し、バックアップ頻度を高めるなどの対処法も検討の余地があるでしょう。
搭載ディスクの変更
NASの読み書きの速度は、搭載しているディスクの読み書き速度に大きく影響を受けます。
ディスクの中には長寿命なものもあり、古いディスクをずっと使い続けているというケースもあるでしょう。
しかし、技術の進歩によって、一見すると同じ容量のディスクであっても、読み書きの速度が大きく向上した製品が登場しているケースも少なくありません。
搭載しているディスクを読み書き速度の高いものに変えることで、NASの速度を高める効果が期待できます。
運用面の再検討
当然のことながら、NAS内に保存しているデータを編集・変更すると、NASはその反映をまずNASのディスク内でリアルタイムに処理します。
この処理の頻度が高くなれば、必然的にNASの処理が多くなるため、同時に他のデータの書き込み処理が入ればさらに速度が低下します。
重要なデータは変更後リアルタイムにNASに反映するのはやむを得ません。
しかし、たとえば更新頻度が低いデータやファイルなどは、アップロードのタイミングをずらしてアップロードする運用に変更するという対策なども考えられるでしょう。
また、NASへアップロードするデータの種類を職場のルールとして限定するなどの運用面の再検討をしてみることも、NASの快適な利用にあたり有効な対策となるでしょう。
まとめ
この記事では、NASのアクセス速度について、ネットワーク・ハードウェアの両面から解説しました。
NASを利用する際の速度低下については、ネットワーク面とハードウェア面の両面からアプローチすることが有効です。
NASの速度が遅いと感じた場合には、この記事で解説した内容を参考にして、対策に役立ててみてください。
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